フリーランスになってから、健康診断を一度も受けていない人もいるでしょう。
時間も取られるし、お金もかかることです。ただ、ずっと健康診断を受けないでいると、病気の発覚が遅れるばかりか、仕事ができなくなる可能性もあります。
そこで今回は、フリーランスが健康診断を受けるべき理由と、お得に健康診断を受ける方法を9つ紹介します。
健康診断にかかる費用が心配なフリーランスの方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
フリーランスが健康診断を受けるべき理由3つ

健康診断の目的は、「健康状態を調べて、病気の予兆を発見すること」です。
この章では、フリーランスにこそ、健康診断が必要な理由を説明します。
収入に影響する
フリーランスは、働けなくなった瞬間、収入がゼロになってしまいます。
会社員の場合は、体調不良などで働けない状態になっても、有給休暇や傷病手当、障害年金などの社会保障を活用することで、一定の収入は維持できます。
病気で休んだとしても、他の社員が、仕事をカバーしてくれます。
一方、フリーランスは会社員のような手厚い保障はありません。病気になって働けない場合は、その時点で収入がストップしてしまいます。
生産性に影響する
体調が優れないと、生産性の良い仕事ができません。
会社員の場合は、調子が悪くなれば、有給休暇を利用できます。
しかし、フリーランスの場合は、休んだら収入も下がるので、体調が悪くても仕事をしてしまいがちです。
その結果、さらに体調が悪化してしまい、生産性が落ちるという悪循環になってしまいます。
病気が重症化する可能性がある
健康診断を受けるまでの間隔が長くなると、病気を見過すリスクも高くなります。
いつの間にか病気になっていて、気付いたら重症化していた、という可能性もあるでしょう。
重症化して手遅れになる前に、体調を把握できる、健康診断を受けることをおすすめします。
フリーランスの健康診断は経費になる?
事業を行うために使用した費用が経費です。そのため、事業に関係のない健康診断の費用は、経費にできません。
ただし、フリーランスでも、法人化している場合は、社長への「福利厚生費」として経費にできます。
ちなみに、会社員の場合は、会社側が従業員に健康診断を受けさせるよう、法律で義務付けられています。費用は会社が負担します。
フリーランスがお得に健康診断を受ける方法9つ

前項で、健康診断は経費にならないことを解説しましたが、それでも健康診断をお得に受ける方法は、たくさんあります。
ここでは、お得に受ける方法を9つ紹介していきます。ぜひ参考にして、健康診断をなるべく安く受けましょう!
自治体の一般健康診断を受ける
健康診断は、市町村や自治体でも実施しています。
住んでいる自治体によって、無料もしくは格安で受診できるところも多いです。
自治体によって、対象年齢や条件、金額が異なるので、自分の住む地域はどうなっているのか、情報をチェックしてみましょう。
乳がんや子宮がん診断など、女性向けの診断を、リーズナブルに行っている自治体もあります。
自治体の特定健康診査を受ける
特定健康診査とは、「メタボ検診」とも呼ばれ、生活習慣病を予防するための健康診断です。
その名の通り、メタボリックシンドロームに着目した健診が行われます。
40歳~74歳までの方を対象にしています。国で定められたものなので、どの自治体でも実施しています。参考:厚生労働省
自治体によって内容に違いはありますが、無料になることが多いので、該当年齢になったら受けることをおすすめします。
業種別の保険組合に加入する
「保険組合」とは、同じ種類の職業についている人を組合員とする、被用者保険制度です。保険組合に加入しても、健康診断が受けられます。
例えば、クリエイター、エンジニア、美容師を対象とした、様々な組合があります。
保険組合は保険料が変わらない「固定料金制」が多いです。
そのため所得によって、保険料が変わる国民健康保険よりも、安く済む可能性があります。
クリエイター系フリーランスが加入している文芸美術国民健康保険組合の場合、特定健康診査が受けられます。
受診費用は組合負担です(組合負担上限額を超えた分は自己負担)
また、人間ドックの受診では、補助金を支給してくれます。
その他の保険組合について詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてみてください。

フリーランス対象の保険サービスに加入する

民間の保険サービスには、フリーランスを対象としたものもあり、サービスの一環として、「健康診断」を受けられる場合があります。
ここでは、「WELBOX」と「あんしん財団」を紹介します。
WELBOX(ウェルボックス)
「WELBOX」は、株式会社イーウェルが提供する、パッケージ型福利厚生サービスです。
フリーランスがWELBOXを利用するには、フリーランス協会への加入が必須で、加入後に、特典としてWELBOXが自動付帯されます。
フリーランス協会とは、フリーランス向けの福利厚生や、保険を提供している非営利団体です。
フリーランス協会のWELBOXでは、全国3,000施設の健康診断や人間ドックが、会員特別価格で受けられます。
子育て支援やスキルアップ支援といったサポートもありますよ。
参考:フリーランス協会
あんしん財団
あんしん財団は、ケガの保障や、福利厚生の補助金サービスを提供する、中小企業・個人事業主向けの法人です。
個人事業主の場合、月額2,000円で加入できます。
加入者には一年に一度、定期健康診断の補助金として、2,000円が支給されます。
人間ドックでも1年に1回、補助金額が6,000円支給されますよ。
国内で定期健康診断を実施している、全ての病院(医療機関)が、補助金の対象になります。
参考:あんしん財団
アラカルトドック (検査項目別ドック)を受ける
アラカルトドック とは、特定の検査だけを選んで受けるものです。
人間ドックでは身長体重、血圧測定、検尿、血液検査といった様々な検査がありますが、アラカルトドックでは、自分が詳しく調べたい箇所だけを組み合わせて、検診が受けられます。
人間ドックを利用するとなると、何万円も費用がかかりますが、特定の検診のみであれば、それほど高額にはなりません。
セルフメディケーション税制を利用する

セルフメディケーション税制とは、「特定成分を含んだOTC薬品」の購入費用が、控除の対象になる制度です。
薬を買うだけではなく、健康の維持や促進や疾病の予防のために、特定健康審査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診を受けている人が、対象の制度になります。
OTC薬品とは、医師に処方してもらう「医療用医薬品」ではなく、ドラックストア・薬局で自分で購入できる、「要指導医薬品」と「一般用医薬品」のことです。
購入金額が年間12,000円を超えた場合で、超えた部分に対しての所得控除が受けられます(控除上限金額は88,000円)。
所得控除によって税金(所得税、住民税)が安くなりますよ。
OTC薬品をよく利用しているフリーランスであれば、ぜひとも活用しておきたい制度です。
ただ通常の医療費控除との併用ができないので、注意しましょう。
参考:厚生労働省
任意継続の被用者保険を利用する
「任意継続被保険者」とは、会社員の頃に加入していた保険を、退職後も利用できる制度です。
会社を退職したフリーランスでも、最長2年間任意継続することができます。
- 会社員だった頃の給付が受けられる
- 保養所の利用、人間ドックの受診ができる
というように、一般の保険者と同じように活用できます。
ただ保険料は会社と折半ではなく、全額自己負担になってしまうので注意が必要です。
費用、内容、条件などは組合によって違うので、確認してみてください。
献血を受ける
献血センターでは、献血に協力してくれた人への感謝の気持ちから、
- 7項目の生化学検査成績(肝臓に含まれる酵素やコレステロールなどの検査)
- 8項目の血球計数検査成績(赤血球やヘモグロビンなどの検査)
この2つを知らせてくれます。
そのため、健康診断の代わりに、献血を受ける人もいます。
市区町村の健康診断で、献血の項目がなかったら、献血を行ってみるのもいいでしょう。
近隣の医療機関の健康診断を受診する
これまで紹介してきた内容が使えない場合は、自費になりますが、近所の病院で健康診断を受ける方法もあります。
費用は、数千円から1万円程度です。
ただし、
- 自治体の補助金が出る場合
- 健康組合から補助金が出る場合
があるので、前もって調べるのがおすすめです。
この場合は、自分で医療機関を選べない可能性が高いので、注意しましょう。
病院・クリニックで自費の健康診断を受ける場合、検査項目を自由に選ぶことが可能です。
ですので、気になる検査項目を重点的に受診できますよ。
まとめ

ということで今回は、フリーランスが健康診断を受けるべき理由と、お得に健康診断を受けられる方法を解説してきました。
フリーランスは、会社員のように健康診断が義務付けられていないため、健康診断をおろそかにしがちです。
しかし、病気になって働けなくなると、収入もゼロになってしまいます。
ですので、フリーランスとして元気に働き続けたいなら、定期的に健康診断を受けるのをおすすめします。
健康診断は経費になりませんが、自治体の健康診断を受けるなど、安く受ける方法もあるので、ぜひ本記事を参考にして、お得に健康診断を受けてみましょう。
