フリーランスになりたての頃は、経費の仕組みをよく知らないという人が結構いるかと思います。
しかし経費の仕組みを知っておかないと、節税効果を充分に得ることができません。
そこで今回は経費の基礎知識や、請け負っている仕事では何が経費にあたるのか?について解説をしていきます。
フリーランスになりたてで、まだ経費のことをよく分かっていないという人は是非参考にしてみて下さい!
フリーランスは経費の仕組みを理解しよう!

フリーランスは経費の仕組みを理解することが重要です。
なぜなら、経費の仕組みを知っておくと毎年かかる所得税を安くできるからです。
そもそも経費って?節税のメリットがあるってホント?
経費とは「事業を運営するために発生した費用」のことをいいます。
例えば以下の費用などが経費として認められます。
- 取引先と打ち合わせをしたときの交通費
- 家で働いていた場合の家賃、水道光熱費
- ライターが記事を書くために購入した参考図書
経費として認められる金額分は、所得税がかからなくなるので節税を受けることができます。
経費の基準になるのは使ったお金が事業に関係しているか?売り上げに貢献しているか?です。
経費に関わる税金の計算
経費に関わる税金の計算は「収入-経費=所得」で計算されます。
この経費にかかる部分が税金のかからない分になるので、経費が多ければ多いほど税金がかからなくなります。
人によっては所得税がゼロになる人も。
例えば以下の場合は、
- 収入が400万円
- 経費が120万円(交通費、水道光熱費、地代家賃など)
所得が400万-120万円=280万円になるので、120万円分の税金が支払わなくても良くなります。
確定申告で経費を計上して申告するのは自分です。
どの支出が経費になるのか?経費にならないのか?を把握しておかないと、払わなくても良い税金を払うことになり、損をしてしまいます。
ですので経費をしっかりと把握しておくようにしましょう。
本記事ではこの後、フリーランスの経費に関して詳しく解説していきます。
ちなみに経費だけではなく、基礎控除、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除、住宅ローン控除などの控除を適用すれば、もっと所得を減らせて節税効果があります。
フリーランスの経費の割合はどれくらい?
フリーランスの経費は事業規模や種類によって変わります。
本記事では大体の経費の割合について説明をしていきます。
事業規模や職種の種類によって変わりますが、フリーランスの経費の割合は、売上に対して4割以下にできると言われています。
自分はフリーライターをやっているのですが、税理士さんに3割~4割経費を計上できると言われました。
経費が売上の4割以上になると、税務署から目をつけられることもあるので注意しましょう。
経費になる支出としては以下の項目などが挙げられます。
- 通信費(サーバー代、携帯電話代など)
- 旅費交通費(取引先の会食代)
- 交際費(取引先への打ち合わせ)
- 消耗品費(文房具代など)
- 地代家賃(家賃、自宅兼事務所、住宅ローン)
- 水道光熱費(水道代、ガス代、電気代)
- 新聞図書費(本など)
- 車両費(車、自家用車、自動車)
フリーランスの中には自宅で働く人も多いので、水道光熱費や家賃の一部も経費として認められます。
固定費は高い費用なので、その分経費も高く計上できます。
経費で落とすってどういう意味?
俗にいう「経費で落とす」というのは、経費として計上することを意味した言葉になります。
経費で落とすといってもお金は支払われているので、お金がかからないという意味ではありません。
ただ経費がかかった分は税金がかからなくなるので、経費で落とす=税金がかからなくなるということになります。
どこまで経費になるか誰が決めるの?
どこまでが経費になるのかは、自分で判断します。
分からない場合は仕事で必要なものかどうかを考えましょう。
先ほども説明したように経費になるかどうかは、使ったお金が事業に関係しているか?売り上げに貢献しているか?です。
もし判断が難しい場合は、経費について書かれた本を読むのもおすすめ。
経費について書かれた本は以下の通りです。
出典:Amazon
>>お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!
こちらの本はアマゾンでベストセラー1位になった初心者のフリーランス向けの本になります。
この本を読めば、どこまでが経費になるのかわかります!また、経費だけでなく確定申告についても書かれている本です!
経費は領収書が唯一の証明となる!

自分が経費だと思った費用でも、証明がなければ経費としては認められません。
経費の唯一の証明となるのが領収書です。
そのため普段から領収書はもらうクセをつけるなど整理する必要があります。
フリーランスは領収書をもらうクセをつけよう
領収書は経費の証明に必要なので、全ての領収書を取っておくべきです。普段から領収書をもらうクセをつけるようにしましょう。
税理士に依頼する場合も領収書やレシートはとても重要なのでしっかりと保管するようにしましょう。
領収書の種類
領収書の種類は以下の通りです。
- レシート
- 領収書
- 出金伝票
これらの特徴と、貰うときのコツを順に説明していきます。
レシート
現在は領収書の代わりにレシートを確定申告で提出することが可能です。
レシートは日付、金額、品物の内容が書いてあり、領収書と違って宛名を書く欄がありません。
普段から買い物でレシートを受け取らない、捨ててしまうというクセがある人はレシートを失くしやすくなるかと思います。
なので受け取ったレシートは、一旦サイフにしまって後でファイルで管理するなどのクセをつけるようにしましょう。
領収書
領収書には日付、金額、宛名が書いてあります。
レシートでなく領収書をもらった方が良いケースは支払い金額が高額に及ぶ時です。
支払者に関する記載がないレシートは「誰かからもらったのではないか?」という疑いがかかりやすくなります。
ただ領収書であれば「フリーランス自身が払った」ことを証明することができます。
高額になればなるほど疑われるので、そんなときにはレシートではなく領収書のほうが説得力があります。
領収書をもらう際には氏名と屋号をしっかり書いてもらうようにしましょう。
また領収書はレシートと違って店員さんに手間をかけさせてしまうので、レシートで済む場合はレシートを貰うようにしたほうが良いですね。(ほとんどレシートでことが済むと思います)
出金伝票(100均一で入手可能 領収書がないときに便利)
仕事に関りがあったときの葬式の香典、自動販売機の支払いといった領収書が発行されないケースもあります。
このような場合は出金伝票に記入しておきましょう。
領収書を失くしてしまった場合にも出金伝票を活用することができます。
出金伝票は文房具屋、100均でも入手することが可能です。
出金伝票では日付、支払先、内容、金額を記載することができます。
領収書の保管は法律で義務付けられている!

領収書の保存は法律で義務付けられています。
- 確定申告の際に白色申告を選択している場合は5年
- 確定申告の際に青色申告を選択している場合は7年
以上のように白色と青色で保管するべき年数が決まっています。
ただし、国税庁によると前々年分所得が300万円以下の場合なら5年保管となります。かけだしフリーランスの方は覚えておきましょう!
おすすめの領収書の保管方法
おすすめの領収書保管方法は以下の通りになります。
- 封筒方式
- ノート方式
- ファイル方式
- 領収書保存袋
それでは順にそれぞれの保管方法を説明していきます
封筒方式
封筒方式は月ごとに領収書をまとめて、帳簿が終わったら月ごとの封筒(12個の封筒)を1つの大きな封筒と袋と箱にいれて保管するといった方法になります。
手間やお金がかからずに簡単にできるので、多くの人が採用している方法ですね。
欠点としてはかさばって保管には不向きなところです。
かさばるのが嫌だという人はデジタル形式で保管するのをおすすめします。
デジタル形式
スマホやデジカメで撮影した領収書とレシートの写真も保管方法として認められています。電子保存であれば紛失・消失のリスクも減らせたり、スペースの削減やバックアップも取れるメリットがあります。
ただ領収書とレシートを電子データで保存するには事前に税務署に申請して承認を受ける必要があります。
国税庁から申請書をダウンロードしてから必要事項を記入し、データ保存を開始する3カ月前までに税務署に申請しなければなりません。
デジタル保存には3日以内に「タイムスタンプ」をつける必要があります。
領収書とレシートをデジタル保存するときにも会計ソフトが便利です。
「freee」や「MFクラウド」というツールを使えば、スマホやパソコンから領収書とレシートを読み取ってくれます。
タイムスタンプは認定された事業者が行うことになっていますが、会計ソフトのなかには自動的にスタンプをつけてくれるものもあります。
会計ソフトを使えば、確定申告の作業も効率が良くなるので、ツールの導入を是非検討してみて下さい。
ちなみにおすすめの会計ソフトは「会計freee」
これを使えば、確定申告や会計にかかる時間を大幅にカットできます。
フリーランスならぜひ使ってみてほしいです。
ノート方式
ノート方式は日付順に領収書を貼って保管する方法になります。
封筒方式に比べて保管するときの見栄えが良くて、開けば良いので見やすいのが利点になります。
ノートの場合は可愛い表紙のものも選ぶなどをすると女性だと楽しく保管できるかと思います。
欠点としては、後から領収書が出ると整理がめんどくさくなる、糊付けがめんどくさくなるという点があります。
ファイル方式
ファイル方式は紙に領収書を日付ごとに貼っていき、それぞれの領収書を穴あきパンチで穴を空けてファイリングしていく方法になります。
多くの企業が採用している方法ですね。
欠点としては穴あけパンチと糊付けの作業に手間がかかる点です。
領収書保存袋

領収書保存袋という領収書専用の保管袋があります。
上記の画像は、週刊アスキーにも掲載されたイラスト入り領収書保存袋「経費擬獣図鑑」になります。
シロクマやつるなどのかわいいイラストが袋に書いてあります。
消耗品費をネズミ、医療費をシロクマ、旅費交通費をツルといった形で可愛いイラストごとに領収書を保管することができるので、お気に入りのキャラを利用するとテンションが上がるはずです!
めんどくさい領収書の保管を少しでも楽しく保管できるようにしてみてはどうでしょう?
フリーランスは覚えておくべき!経費の勘定科目

フリーランスならば経費になる勘定項目をしっかりと覚えておくと経費を管理しやすくなります。
勘定科目とは?
勘定科目とは、事業を運営していくうえで発生した収益と費用を記録するための分類項目のことをいいます。
フリーランスは日々発生する経費を自分自身で記録していく必要があります。
例えばソフトウェア、消耗品費、車両費、広告宣伝費などが勘定科目に挙げられます。
勘定項目の選択に関した法律は特にありません。
なので勘定項目の選択と名称は任意とされています。任意なので1人で管理するのは大変ですね。
会計ソフトではあらかじめ勘定項目が登録されているため、選択するだけで済みます。
仕事とプライベートが混同する場合
仕事場が自宅の場合は、家賃や光熱費を事業で使用する比率分のみを経費として計上することが可能です。
この比率分を家事按分といいます。
家賃や光熱費は金額が多い費用なので、自宅で仕事をしている人は大きい節税効果を得ることができるので、経費を計上して申告するようにしましょう。
代表的な経費の勘定科目
経費は勘定科目別に管理するのがコツです。
例えばWebライターだとどんな項目があるかというと、
地代家賃(家賃など)
WEBライターは自宅で仕事をしている場合が多いので家賃も経費として計上されます。
その割合は仕事でどの程度のスペースを使っているかの占有率で決まります。
水道光熱費(水道、ガス、電気など)
家賃と同じで自宅で仕事をしている場合は水道、ガス、電気代も経費として計上することができます。
これもどのくらいのスペースを事業で利用したかによります。
通信費(インターネットの通信費用など)
WEBライターはインターネットを利用するので、インターネットの通信費用も経費として計上することができます。
新聞図書費(本や新聞代)
執筆のための情報収集を本や新聞でするならば「新聞図書費」として経費の計上ができます。
旅費交通費(打ち合わせや取材費用など)
交通費も事業に関するものなら経費の計上が可能です。
例えばクライアントとの打ち合わせでの交通費や取材での交通費などは事業に関わるので経費にすることができます。
減価償却費(10万円以上のパソコンなど)
WEBライターで利用しているパソコンも経費にすることができます。
10万円以上のパソコンならば資産となり「減価償却費」として計上する必要があります。(青色申告をしている一般的なフリーランスの場合は取得額10万円以上30万未満のものでも合計300万円までなら経費にしてもよい)
10万円以下ならば消耗品費として計上されます。
減価償却費には定められた耐用年数があり各年度の経費としての計上が可能です。
フリーランスの経費の注意点

最後にフリーランスの経費の注意点について説明をしていきます。
節税のつもりが浪費に!
フリーランスにとっての節税は「課税所得を減らす」ということになります。
課税所得を減らしたいが故にお金を無駄遣いしてしまうと本末転倒になってしまいます。
節税と称して、飲み歩きなど無駄に支出してしまう人もいるようです。
確かに節税額は増えますが、そもそもの支出は増えてしまうので、むやみに支出してしまうと単なる浪費になってしまいます。
節税目的で事業に関係ないもので支出してしまっても単なる無駄遣いで意味がなくなってしまいます。
何の領収書か説明できないとピンチ
経費を証明しようと領収書を提示しても税務調査で詳しく聞かれることがあります。
なのでそんなときは何の領収書であるかをしっかりと説明できるように自信を持って答えるようにしましょう。
特定の勘定科目の領収書が多すぎる
特定の勘定科目の領収書が多すぎる場合は税務署で怪しまれる可能性があります。
ですので勘定科目は分散して、一方に多すぎないように申告する必要があります。
住宅ローン審査に影響する
経費によって所得が低くなってしまうと、住宅ローンの審査に通りにくくなる可能性があります。
所得の低さによって住宅ローンの審査に通りにくくなることを危惧するならば、あまり経費計上をしないようにして所得を低くしすぎないのも1つの手ですね。
おわりに
ということで今回はフリーランスに経費の仕組みについて説明していきました。
経費の仕組みを知っているのと知らないのとでは、受けられる節税効果が違ってくるので、フリーランスなら経費の仕組みを把握することは必須です。
なので節税を多く受けるためにも経費ついて勉強しておきましょう。
