会社員に比べて、「フリーランスや自営業では賃貸契約が難しい」と言われています。
しかし、収入や貯蓄額などの情報をしっかり提示できれば、フリーランスでも賃貸契約ができます。
そこで本記事では、フリーランスが賃貸契約をしづらい理由と、賃貸物件をスムーズに借りるためのポイントを紹介します。
フリーランスで賃貸契約をしたいと考えている人は、最後まで本記事を読み、参考にしてください。
フリーランスが賃貸契約をしづらい理由2つ
フリーランスが賃貸契約がしづらいと言われるのは、主に2つの理由があります。
それぞれ詳しく解説していきますね。
フリーランスの収入の不安定さ
貸主(大家さん・物件管理業者)が一番知りたいのは、「借主(家を借りる人)には家賃の支払い能力があるか」です。
フリーランスは会社員と違い、毎月の収入が変動します。そのため、支払い能力があるとみなされにくいです。
会社員の平均月収を上回っていたとしても、来月や再来月には、がくんと減る可能性があります。
こうした不安定な収入のせいで、どうしても「支払いが滞るのではないか」と、懸念されてしまいます。
フリーランスに対する信用度が低い
また、フリーランスに対する信用やイメージを、もともと低く持っている貸主もいます。
例えば、
- フリーランスとは、会社に雇ってもらえなかった人
- フリーランス=フリーター(無職で何もしていない人)
などです。
そのため、「フリーランス」と聞いただけで、部屋を貸してくれないケースもあります。
そういった不動産業者や大家さんに当たった場合は、別の物件や業者を検討した方が良いでしょう。
フリーランスが賃貸物件を借りるためのポイント8つ
フリーランスが賃貸契約をするためには、「社会的な信用度」が肝になります。
ここからは、フリーランスが賃貸物件を借りるためのポイントを、順番に解説していきます。
収入を証明する
「安定した収入がある」という証明は、賃貸契約をする上で、非常に重要です。
以下で、収入を証明できる書類をまとめました。
住民税の課税証明書
課税証明書は、「所得証明書」「収入証明書」とも呼ばれ、年間の所得や課税額がどれくらいあるかを、公的に証明する書類です。
- 住民税の課税額
- 所得金額
- 扶養家族の人数
- 控除の内訳
- 課税標準額
が記載されています。
所得がない場合は、住民税が課せられないため、「非課税」と記載されます。
課税証明書は、各自治体の窓口・郵送で発行手続きをすることができます。
証明書一枚につき、300円程度の手数料が必要です。(価格参考:港区)
納税証明書
納税証明書とは、確定申告書等を提出した際の、納税額、所得金額、もしくは未納の税額がないことを証明する書類です。
賃貸契約時だけでなく、住宅ローン審査などでも利用します。
納税証明書は、現在の住所地(納税地)を所轄する税務署に請求します。
- 窓口か郵送で申請(手数料400円)
- オンライン(e-tax)で申請(手数料370円)
(参考:国税庁)
上記の2種類の方法があります。
銀行の残高証明
残高証明とは、金融機関が発行する、「指定した日付にいくら預金があったか」を証明する書類です。
フリーランス一年目などで、収入が少ないけれども、会社員時代にそれなりに貯めていた人なら、使える書類になります。
銀行の窓口に行くか、コールセンターなどで請求できます。証明書の受け取りは、窓口か郵送が一般的です。
銀行によって請求方法や手数料が違うので、詳しくは、利用している銀行で問い合わせてみてください。
収入に合う家賃の物件を探す
一般的に、家賃の目安は収入(手取り)に対して、3割程度と言われています。
例えば、手取りが20万円だった場合は、6万円辺りの家賃が目安になりますね。
しかし、フリーランスの収入は不安定なので、3割以下の家賃にしぼって探すのがおすすめです。
「仕事が不安定になっても、最低これくらいは稼げる」という金額を、あらかじめ決めておきましょう。
連帯保証人は収入が安定している人を選ぶ
連帯保証人とは、自分が家賃を支払えなくなった場合に、代わって支払う人のことをいいます。
連帯保証人として認められるには、収入が安定していることが絶対条件ですが、「借りる予定の物件の家賃に、見合う収入があること」が重要です。
親などの近親者も連帯保証人になることができますが、定年退職後などで収入面に不安がある場合は、保証人として認められません。
保証人不要の物件を探す
連帯保証人が見つからない場合、連帯保証人を立てなくても借りられる「保証人不要物件」を探すのがおすすめです。
また、不動産屋の中には、「審査の通りづらい人」向けの物件に強い事業者もいます。
そのような業者は、管理会社や保証会社の入居審査の傾向を、しっかり把握しています。
物件探しの際には、「自分はフリーランスである」ということを伝えておけば、条件に合う部屋を探してくれますよ。
ただし、保証人不要物件、契約しやすい物件は、訳アリ(事故物件)のものあります。
事前に、その物件が借りやすい理由を確認しておきましょう。
UR賃貸住宅を利用する
保証人が見つからない場合、『UR』を利用するのもおすすめです。
URは、都市再生機構(UR都市機構)が管理している、公的な賃貸住宅のことです。
URには保証人、礼金、手数料、更新料がなくても入居できる物件があり、正社員かどうかは深く追求されません。
しかし、収入に関する審査が厳しく、入居者の月収が、家賃の数倍程度であることが求められるケースもあります。
ですので、安定した収入や、十分な預金額があるフリーランスなら、URで物件を探してみても良いでしょう。
クレジットカードやカードローンの滞納をしない
過去にクレジットカードの滞納がある人は、入居審査に通らないことがあります。
どんなに収入があっても、きちんと支払いができない人は、「支払い能力がない」とみなされるからです。
もし滞納に心当たりがある人は、カード情報の審査をしない管理会社・保証会社を選んで、物件探しをしましょう。
それ以外には
- 保証人を立てる
- 信販系以外の保証会社を利用する
以上の方法で、審査に通ることがあります。
不動産仲介会社に、正直に過去のことを言えば、相談に乗ってくれることもあります。
清潔な服装を心がける
大家さんは、職業だけでなく人柄も見るので、顔合わせでは誠実な態度を心がけましょう
清潔感のある服装を身に着けるなど、好印象を持ってもらえるようにしてください。
もちろん、きちんとした言葉遣いをするのも大切です。
契約前に禁止事項を調べておく
賃貸を契約する前に、
- 家賃交渉不可
- 事務所不可
- 無職不可
- ペット不可
など、貸主が提示している条件を、すべて調べておきましょう。
条件に違反した場合、ペナルティが課せられたり、退去を迫られたりする可能性が高いです。
もし、何らかの要望がある場合は、事前に伝えておくことで、無用なトラブルを防げますよ。
フリーランスの入居審査・契約に必要な書類
フリーランス・会社員に関わらず、入居審査と契約時で、それぞれ必要な書類があります。
まとめて紹介するので、忘れないように準備しましょう。
入居審査
入居審査に必要な書類は、以下の通りです。
- 支払調書
- 住民税課税証明書
- 所得税納税証明書
- 銀行通帳の写しまたは残高証明(通帳の入金履歴)
- 身分証明書
入居審査とは、家を借りたい人に対して、安心して貸せる人物かを判断するものです。
- 家賃の支払い能力があるか
- トラブルを起こす心配がないか
- 本人や連帯保証人の勤務先や年収、継続年数、雇用形態
- 本人と連帯保証人の続柄
以上のことがチェックされます。
また連帯保証人の勤務先に、在籍確認の電話をする場合もあります。
チェックするのは貸主である大家さんか、不動産管理会社で、入居審査期間は、数日~約1週間が一般的です。
物件契約時
物件契約時に必要な書類は、以下の通りです。
- 本人の印鑑
- 印鑑証明
- 住民票
- 敷金・礼金
- 仲介手数料
- 前家賃
- 保証人の同意書
- 損害保険料(加入義務があった場合)
入居審査が完了したら、入居者本人が契約内容を改めて確認して、問題がないようなら契約手続きに入ります。
契約書への署名と捺印は、契約者本人だけではなく、連帯保証人の分も必要な場合があります。
もし、連帯保証人が遠方に住んでいる場合は、書類を郵送し、署名と捺印をしてもらうことが多いです。
また、初期費用の入金も必要になるので、入金期日も確認しておきましょう。
フリーランスの賃貸契約にまつわる疑問
最後に、フリーランスの賃貸契約時によくある疑問について、触れていきます。
賃貸物件を自宅兼事務所にできる?
自宅兼事務所にできるかは、契約によります。
「事務所不可」という条件がついている場合は、事務所として利用すると違反になってしまいます。
「事務所利用可」となっていても、「登記が不可」となっている物件もあります。
家主が事務所にしたくない理由は、以下を想定しているケースが多いです。
- 居住用賃貸と事務所用賃貸での消費税課税の違い
- 頻繁な人の出入りによる周辺への迷惑
- 風呂・キッチンなど、水回りの傷みの進行
無用なトラブルを避けるためには、事務所としての契約や利用が可能か、最初から不動産会社に聞いておきましょう。
事務所利用不可の物件でも、相談すれば、業務内容によっては許可される可能性もあります。
また居住用と事務所用では、
- 居住用賃貸の消費税:非課税
- 事務所用賃貸の消費税:課税対象
となり、事業用で使っていると、消費税が課せられてしまうので、注意しましょう。
参考:国税庁
賃貸の家賃は経費に計上できる?
家賃の全額を経費にすることはできませんが、事業で使っているスペース分であれば、経費計上が可能です。
家賃から経費を計算する際には、「按分(あんぶん)」と呼ばれる方法を用います。
按分とは、ある数値を基準として、それぞれの割合で数量ごとに分けるものです。
支払っている家賃のうち、どのくらいが事業によるものなのか、どのくらいがプライベートによるものなのか、計算するために使われます。
事業で使っている部屋の広さや、使用時間帯で総合的に判断しましょう。
参考:国税庁
まとめ
ということで今回は、フリーランスの賃貸契約について解説してきました。
フリーランスは、確かに賃貸契約がしづらいです。
フリーランスが賃貸契約をする場合、一番大事なのは収入面なので、安定した収入があることを、きちんと提示するのがコツです。
上記のように、借りるためのポイントを抑えておけば、スムーズに借りられるようになるでしょう。
