フリーランスはできるだけ節税して税金の負担を減らしたいですよね。
節税方法には「控除」が深く関わってきます。
しかし、控除について知らないフリーランスも多いのではないでしょうか?
そこで今回は、現役フリーランスの筆者が、控除の仕組みやコツを解説をしていきます!
また、2018年の所得税改革で減税になるフリーランスも紹介します。
本記事でうっかり見逃していた控除がないか確認してみてくださいね!
フリーランスが支払う税金の種類
そもそも税金にどんな種類があるのでしょうか。
フリーランスが収めるべき税金と保険料は以下の通りです。
- 所得税
- 住民税
- 国民健康保険料
- 国民年金保険料
- 個人事業税
- 消費税
本記事では、特に所得税を控除で節税する方法についてまとめています。
フリーランスが支払う税金:所得税とは
所得税とは個人の所得にかかる税金のこと。日本の場合、所得が多くなるほど、税率が高くなる「累進税率」が定められています。
フリーランスは、年間の所得を算出し確定申告と所得税の支払いを行います。その所得税の申告に基づき住民税が算出される、という仕組みです。
フリーランス一本で生活している人は、所得税と住民税は支払うべき税金として覚えておきましょう。
所得税は「控除」で安くできる
フリーランスに密接に関わる「所得税」ですが、控除を利用すれば大きな節税ができます。
その理由は、所得税は課税所得に応じてその額が決まるためです。
以下の課税所得の計算式を見てください。
- 事業収入(一年間の売上)-控除-経費=課税所得
つまり、差し引く控除と経費が多ければ多いほど課税される所得が少なくなり、その結果、所得税と住民税が安くなる、という訳です。
本記事では控除の詳しい解説をしていますが、経費の賢い節税方法についても知っておく必要があります。
詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみて下さいね。


控除の適用には確定申告をする
フリーランスが控除を適用するには確定申告が必要です。
ただし、収入から経費と控除額が上回って、課税所得がゼロもしくはゼロ以下になれば所得税がかからなくなるので、確定申告は不要です。
例えば、
- 収入(売上)が100万
- 経費額50万
- 控除額50万
になれば、100万-50万-50万で差し引き0円になり確定申告の必要はなくなります。
ただし、青色申告控除を行うフリーランスの場合、赤字を翌3年以降繰り越して、翌3年以降の黒字と相殺(繰越損失)できます。
事業を開業して1年目の場合、将来に向けて事業投資を積極的にした場合には、赤字となるケースも多いです。
節税するために必ず繰越損失で確定申告を行いましょう。
「所得控除」と「税額控除」の違い
厳密に言うと、控除は「所得控除」と「税額控除」の2つに分けられます。
これらの控除の違いについて順に説明をしていきます。
所得控除とは
所得控除とは、所得から一定の金額を差し引くことをいいます。
この制度が設けられている理由は、個人的事情を加味し税負担をなるべく平等にするためです。
同じ年収だとしても、フリーランスの人、シングルの人、子育て中の人など、様々な環境がありますよね。
所得控除は14種類あり、控除により受けるための条件があります。
例えば「配偶者控除」は収入が103万円以下の配偶者がいると受けられる控除です。
所得控除の種類
14種類ある各所得控除を説明します。
所得控除の種類とその控除内容は以下の表のとおりです。
種類 | 内容 | 控除額 |
---|---|---|
基礎控除 | 確定申告するなら誰でも受けられる | 48万 |
配偶者控除 | 収入が103万円以下の配偶者がいる人。控除額は条件により異なる | 13万〜48万 |
配偶者特別控除 | 配偶者の収入48万円以上〜133万円以下の場合に可能。控除額は配偶者の所得により異なる | 1万〜38万 |
扶養控除 | 扶養している家族がいる人。控除額は条件により異なる | 38万〜63万 |
障害者控除 | 自分や扶養家族が障害者の場合に受けられる | 27万〜75万 |
寡婦(夫)控除 | 夫や妻と死別、離婚したときに受けられる | 27万(一定の場合は35万) |
勤労学生控除 | 納税者本人が勤労学生と認められた人 | 27万 |
社会保険料控除 | 健康保険、年金などの社会保険料を1年支払った場合 | 全額控除対象 |
生命保険料控除 | 生命保険や個人年金に加入している人 | 最大4万円 |
地震保険料控除 | 居住用家屋、生産用動産を保険目的とした地震保険を支払ったとき | 地震保険料の全額(最高5万)、住民税の最高控除額は2万5千円 |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済や個人型の確定拠出年金などに加入する場合 | 全額控除対象 |
医療費控除 | 1年間に支払った医療費が10万以上もしくは所得金額の5%以上になった人 | 支払った医療費の10万を越えた分もしくは、所得5%以上を越えた分 |
雑損控除 | 住宅、家財、現金等について災害や盗難、横領により損失が生じた場合に適用 | 損失額-課税標準の合計×10%もしくは災害関連支出額-5万 |
寄付金控除 | 国や地方公共団体、一定の公益法人などに寄付金を支出したとき | 寄付した額-2,000円 |
表のように各控除ごとで受けるための条件が異なります。
条件に適用される場合は、忘れずに確定申告を行い税金を払いすぎないようにしましょう。
税額控除とは
税額控除とは、算出した所得税額から直接差し引ける仕組みです。
所得から差し引く所得控除とは違い、税金が多い人も少ない人も一律になります。
税額控除には色々ありますが、例えばマンションを購入した際に利用できる「住宅ローン控除」など、かなり大きな額の控除を受けられます。
この場合、住宅ローン残高の1%を控除できます。
税額控除の種類
税額控除の種類も様々ですが、税額控除の対象になる人はそれほど多くありません。
ここではいくつかの税額控除をピックアップして紹介します。
税額控除の種類には以下のようなものがあります。
- 配当控除
- 住宅ローン控除
- 住宅耐震改修特別控除
- 住宅特定回収特別税額控除
これら以外にも受けられる税額控除があるので、詳しくは以下の国税庁のホームページに載っている税額控除の種類を参照してみて下さい。
所得税を節税できる控除
フリーランスが所得税をさらに節税するため知っておきたい控除があります。
- 青色申告特別控除
- ふるさと納税
これらについて順に説明をしていきます。
青色申告特別控除
青色確定申告をするフリーランスを対象にした控除で、10万円もしくは65万円の所得控除を受けられます。
青色申告特別控除を受ける方法
- 開業届
- 所得税の青色申告承認申請書
上記を税務署に提出する必要があります。
青色申告承認申請書の提出には期限が決まっており、
- 開業届を出した2ヵ月以内
- 白色申告から変更したい人は適用を受けたい年の3月15日まで
となっています。
開業届や青色申告承認申請書については以下の記事にまとめているので、参考にしてください。

65万円控除を受けるには
メリットの大きな65万円の所得控除を受けるには、複式簿記を選びましょう。
しかし複式簿記はかけ出しフリーランスの場合、難しく感じる人もいます。
青色申告を諦めそうになったら、会計freeeなどの会計ソフトの利用がおすすめ。
自動で仕分けや帳簿の記帳ができるので、手間が減る分、仕事にも集中できますよ。
ふるさと納税
ふるさと納税は、自分の好きな自治体に寄付をして、その金額に応じて税金が減額される寄附金控除です。
ふるさと納税では、自己負担2,000円を除いた額を所得税と住民税から控除できます。
例えば、ある自治体に10,000円寄付した場合は、自己負担の2,000円を除く8,000円の寄付額を所得税と住民税から控除できます。
実質自己負担の2,000円で返礼品をもらうということになりますね。
返礼品を見て寄付先の自治体を決める人は、2,000円で果たしておトクになるか?をしっかり見極めましょう。
2018年の所得税改革でフリーランスは減税に?
2018年に所得税改革が行われ、フリーランスは減税対象になったことを知っていますか?
以前から会社員に比べ、フリーランスは所得税控除が少なく不公平だと言われていました。
同改革への期待も大きかったのですが、蓋を開けてみると、実際は減税になる人とならない人がいました。
ここからは、所得税改革でフリーランスに関わる部分をピックアップして解説します!
所得税改革が行われた理由
所得税改革が行われた理由は、働き方の多様化に対応するためです。
実際、日本でもフリーランスとして働く人が増えています。
ランサーズ社が行った2018年の「フリーランス実態調査」によると、人口に占める割合は17%にもおよぶことが分かっています。
所得税改革で変わる基礎控除
まず、所得税改革では以下のように基礎控除の額が変わりました。
2019年以前 | 2020年以降 | |
---|---|---|
控除額 | 38万円 | 48万円 |
2020年以降の基礎控除額は、38万円から10万円増えて48万円になりました。
基礎控除とは、確定申告や年末調整で所得から差し引ける控除で、結果的に所得税と住民税を少なくできます。
減税になるフリーランスとは
所得税改革により実質的に減税になったフリーランスは以下の通りです。
- 青色申告で電子申告(e-Tax)をする人
- 白色申告の人
これらの人について順に説明をしていきます。
青色申告で電子申告(e-Tax)をする人
2020年以降の青色申告控除は、
- 65万円(複式簿記で電子申告をすると適用)→10万円の減税!
- 55万円(複式簿記で紙による申告)→減税なし
- 10万円(単式簿記で紙による申告)→減税なし
が基本となります。
上記の通り、青色申告を電子申告(e-Tax)でする人は65万円の所得控除が適用されます。
基礎控除が10万円増えた分、結果的に10万円の減税に!
電子申告は、期限内であれば確定申告を自宅で好きな時間にできます。この機会にe-Taxを活用できるようになりましょう!
白色申告の人
白色申告では青色申告控除額とは関係ないため、引き下げはありません。
そのため、10万円増えた基礎控除の恩恵をそのまま受けられるので減税になります。
減税にならないフリーランスとは
一方、減税にならないフリーランスは以下の通りです。
- 青色申告で電子申告をしない場合
- 給与所得を得ている人
- 合計所得金額が2,400万円以上の人
これらについて順に説明をしていきます。
青色申告で電子申告をしない場合
青色申告で電子申告を利用せず、紙ベースで申告する場合は、2020年以降は所得控除が最高で55万円になります。
そのため、10万円増えた基礎控除と、引き下げられた青色申告控除の10万円が相殺してしまうため減税になりません。
給与所得を得ている人
副業でフリーランスをするサラリーマンなど、給与所得を得ている人も減税になりません。
なぜなら、給与所得者が受けられる「給与所得控除」という控除が、10万円引き下げられたからです。
基礎控除が10万円アップしても、給与所得控除が10万円引き下げられているため、プラスマイナスゼロになり減税になりません。
合計所得金額が2,400万円以上の人
合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超 2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超 2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 適用なし |
基礎控除は2019年までは誰でも受けられた控除でしたが、年収2,500円以上の人は受けられなくなりました。
また、所得2,400万円以上の人は所得制限がかかるようになりました。
したがって、合計所得金額が2,400万円以上の人は、減税にならないばかりか増税になります。
給与収入850万円を超えるサラリーマンは増税に
フリーランス一本で働く人とはあまり関係ない話ですが、給与収入850万円以上のサラリーマンも増税の対象になりました。
以前は年収850万円の人の控除額は205万だったので、今後は10万円分(205万〜195万)の税金を多く支払わなくてはならなくなりました。
ただし、基礎控除も同時に38万→48万に引き上げられているので、この場合はプラマイゼロになります。
おわりに
ということで今回は、フリーランスの節税に大きく関わる控除のコツ、所得税改革の減税について解説をしました。
所得控除や税額控除などをいかすことで、フリーランスの負担となる税金を安くできます。
そのためには、自分が受けられる控除を探して、損をしないように確定申告で必ず申請するようにしましょう。
また、青色申告控除は電子申告(e-tax)をしないと、最高控除額が55万円になってしまいます。
65万円控除を受けたいフリーランスは電子申告をマスターしておきましょう!
